「自筆証書遺言」のリスクと「行政書士」の安心サポート:あなたの“最後のメッセージ”を確実に届けるために

遺言書は、ご自身の財産の分配や大切な人への想いを法的に伝えるための重要な文書です。近年、「終活」という言葉も浸透し、人生の終盤を見つめ、亡くなった後に備える意識が高まっています。しかし、実際に遺言書を作成している方はまだ少ないのが現状で、例えば2018年の法務省の調査によれば、55歳以上の方で自筆証書遺言を作成した人はわずか3.7%に留まっています。
費用がかからず手軽に作成できる「自筆証書遺言」を検討される方も多いかもしれませんが、実はその作成と保管には多くの落とし穴が潜んでおり、せっかくの想いが法的に無効になったり、ご家族間のトラブルの原因になったりするリスクがあります。

●自筆証書遺言の「落とし穴」:あなたの想いが無効になるリスク
  自筆証書遺言は、自分だけで手軽に作成できるという大きな長所がありますが、その手軽さゆえに、以下のような多くのリスクを伴います。

 ○法的効力の喪失リスク
   厳格な要件と不備のリスク: 遺言書が法的な効力を持つためには、全文、日付、氏名を遺言者自身が自書(手書き)し、押印することが法律で厳格に定められています。日付についても「令和6年11月吉日」のように特定できない記載は無効となる可能性があります。
  •訂正や追加のルール: 書き間違えた場合の訂正や内容の追加にも、その場所を示した上で訂正・追加の旨を付記し、署名・押印するという特定のルールを守る必要があります。
  •財産目録の作成ルール: 財産目録は自書でなくパソコンで作成したり、不動産の登記事項証明書や預貯金通帳のコピーを添付したりすることが認められていますが、その場合でも全てのページに署名押印が必要です。また、自書によらない財産目録は本文が記載されている用紙とは別の用紙を用いて作成する必要があり、本文と財産目録の混在は認められていません。
  •形式不備による無効化: これらの書式ルールに一つでも不備があると、せっかく書いた遺言書が法的な効力を持たず、無駄になってしまう恐れがあります。
  •意思能力の争点化: 遺言を作成するには、遺言者に「遺言能力」(遺言事項を具体的に決定し、その効果を弁識するのに必要な意思能力)があることが必要です。特に認知症の高齢者の場合、遺言書作成後にこの遺言能力の有無が争われるケースが増加しており、裁判所によって判断が異なるほど難しい問題です。遺言書作成時に医師の診断書を取得しておかないと、無効と判断されるリスクがあります。実際に、東京高等裁判所で、比較的簡単な内容の自筆証書遺言であっても、遺言能力がなかったとして無効とされた事例もあります。

 ○遺言執行の遅延・トラブル
  •「検認」手続きの必要性: 自筆証書遺言は、遺言者の死亡後、遅滞なく家庭裁判所に提出して「検認」の手続きを請求しなければなりません。この検認手続きは遺言執行に時間がかかる場合があり、検認を受けずに勝手に開封すると過料が科される場合があります。
  •遺産分割協議の困難化: 遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、これがまとまらないと不動産や預貯金の相続手続きができません。遺産分割協議書には相続人全員の実印が必要だからです。
  •遺留分侵害額請求: 兄弟姉妹以外の相続人には、法律により「遺留分」(一定の割合で相続財産を取得できる権利)が認められています。遺留分を考慮しない遺言書は、他の相続人からの遺留分侵害額請求を招き、結果としてトラブルに発展する可能性があります。

●行政書士に相談する「安心」:確実な遺言書作成と円滑な相続のために
  このような自筆証書遺言の潜在的なリスクを避け、ご自身の意思を確実に実現するためには、専門家の支援が有効です。

 ○遺言書作成における専門的サポート
  •法的効力を持つ遺言書の作成指導: 行政書士は、遺言者が伝えたい内容を聞き取り、法的に有効な遺言書を作成するためのアドバイスや文案の起案を行います。自筆証書遺言の厳格な作成ルールを熟知しているため、書き方の不備による無効化を防ぐことができます。
  •財産・相続人の正確な調査: 遺言書作成の前提として、行政書士は財産目録の作成支援や、相続人の調査(戸籍の収集、相続関係図の作成)を行います。これにより、家族が知らない相続人の存在や、相続財産の漏れを防ぎ、後々のトラブルの芽を摘みます。
  •遺言執行者の指定・支援: 遺言書には、遺言内容を実現するための「遺言執行者」を指定できます。行政書士を遺言執行者に定めることで、相続人が感情的なもつれを避け、預金解約や名義変更などの相続手続きをスムーズに進めることができます。
  •遺留分を考慮したアドバイス: 相続人の遺留分について正確な知識を提供し、相続人全員が納得できる、トラブルを避けるための財産分配のアドバイスを行います。

●行政書士に依頼するメリット
  「きめ細やかなサポート」と「負担軽減」: 行政書士は、遺言書の内容の検討、手続きに必要な書類の収集、公証人との仲介など、遺言書作成の上で、きめ細やかなサポートを提供します。これにより、遺言者様の負担を軽減できます。
  •自筆証書遺言書保管制度の活用支援: 令和2年(2020年)7月から始まった「自筆証書遺言書保管制度」は、法務局で遺言書の原本と画像データが保管されるため、紛失や盗難、偽造や改ざんのおそれがなく、検認手続きも不要になる画期的な制度です。法務局職員による形式的なチェックも受けられます。行政書士は、この制度利用を支援し、遺言書の形式的な不備を防ぐためのサポートを行うことができます。
  •公正証書遺言の検討支援: 自筆証書遺言のデメリットを考慮し、より安全確実な公正証書遺言を検討する際にも、行政書士は公証人との仲介や、作成に必要な書類(印鑑登録証明書、戸籍謄本、不動産の登記事項証明書など)の収集を支援するなど、手厚いサポートが可能です。公正証書遺言は、公証人が作成するため法的な不備がなく、原本が公証役場に保管され、検認も不要という大きなメリットがあります。

●まとめ
  遺言書は、残されたご家族への「最後のメッセージ」であり、あなたの想いを形にして確実に伝えるための大切な手段です。自筆証書遺言の作成には様々なリスクが伴いますが、行政書士などの専門家を活用することで、そのリスクを最小限に抑え、あなたの願いを円満で円滑な相続へとつなげることができます。
相続に関するご不安があれば、まずは専門家への相談から検討してみてはいかがでしょうか。行政書士事務所しずおか法愛でも、常時ご相談を受け付けております。

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