【速報】成年後見制度、利用者本位へ大転換か? 法制審が示す「途中でやめる」「交代できる」未来 (続き)
皆さんは「成年後見制度」をご存知でしょうか? 認知症などでご自身の財産管理が難しくなった方を法的に支援するための大切な仕組みです。しかし、「利用しにくい」という声や、「一度始めたら原則として亡くなるまでやめられない」という現状の課題も指摘されていました。
そんな成年後見制度が、今まさに大きな変革期を迎えています。今月(令和7年6月)、法務省の諮問機関である法制審議会が、制度をより利用しやすく、利用者本位の形にするための中間試案をまとめました。今回は、昨日に引き続いて、この中間試案の注目すべき内容と、それが私たちの社会にどのような影響を与えるのかを深掘りしていきます。昨日のブログ記事の続きとしてご一読下さいね。
●検討されたが見送られた事項
審議会では、後見人の担い手確保のため、不定期となっている報酬を定額で支払う仕組みも検討されました。しかし、案件ごとに事務内容が異なるため難しいとの意見があり、今回の中間試案では明記が見送られています。 報酬については、引き続き、家庭裁判所が相当な報酬を判断するにあたって、保護者が行った事務の内容などを適切に評価することを明らかにする観点から、考慮要素を明確にする考え方について検討が進められる方針です。
●もし試案が実現したら、制度はどう変わる?
この中間試案の内容が法改正として実現した場合、成年後見制度には以下のような影響が考えられます。
•利用の促進: 「途中で利用をやめられる」「あらかじめ期間を定められる」という変更は、現行制度の利用をためらう大きな要因を解消し、より多くの人が制度の利用を検討しやすくなることが期待されます。これにより、高齢化の進展に伴い増加する成年後見制度へのニーズに対応しやすくなります。
•柔軟性の向上: 被後見人の状態が改善した場合や、家族による支援体制が整った場合など、状況の変化に応じた柔軟な制度運用が可能になります。本人の判断能力の回復を待たずとも、支援の必要性がなくなったときに終了できることで、制度がより実態に即したものとなります。
•利用者本位の強化: 後見人の交代が可能になることで、被後見人やその家族の意向がより尊重され、後見人と被後見人の間の信頼関係が損なわれた場合にも対応できるようになります。また、保護者が本人の意思を尊重する義務が明確化されることで、本人の自己決定権がより尊重される運用が期待されます。
•制度への信頼向上: 利用期間の柔軟性や後見人交代の選択肢が増えることで、成年後見制度がより透明で、利用しやすいものとして社会的に認知され、信頼性が高まることが期待されます。
●まとめと今後の展望
法制審議会がまとめた成年後見制度の見直し中間試案は、現行制度の「利用しにくさ」を解消し、「利用者本位」の柔軟な運用を目指すものです。
具体的には、「途中で利用停止」や「あらかじめ期間を設定」、「後見人交代」といった重要な見直し案が盛り込まれており、これらの見直しが実現すれば、成年後見制度がより身近で利用しやすいものとなり、高齢化が進む社会において、必要な支援を必要とする人に届けられる基盤としての役割が強化されることが期待されます。
この中間試案は、今後、国民の意見を広く聴くためパブリックコメントにかけられる予定です。皆さんも、この機会に成年後見制度について考え、意見を寄せてみてはいかがでしょうか。私たちの社会の高齢者や障害を持つ方々への支援が、より良いものになるための一歩となるでしょう。