離檀代行業者とお寺

 最近、Youtubeのお勧め動画に、離檀を代行しますと称する業者が、お寺の住職らしき人に対して「離檀料の交渉」を行っている様子が撮影されたものが出てきました。この動画がいわゆる「やらせ」である可能性もあり、また、この業者さんの資格も判然としませんので、直接云々する事は致しません。が、もしもこの業者が、弁護士名簿に登録された弁護士ではないにも関わらず、報酬を得る目的で業として「離檀料の交渉」をしているのであれば、弁護士法第72条に違反する非弁行為にあたり、その行為は無効です。

 この場合、お寺側は、先方に対して「無効」である事を主張して、交渉に応じてはいけません。先方が離檀したい方の委任状を示してきたとしても、非弁行為である事には変わりませんので、やはり交渉してはいけません。更に言えば、仮に業者の言い分が納得できるものであるにせよ、非弁行為ゆえの「無効」の主張は、離檀したい檀家さんにも可能です。つまり、何らかの「落としどころ」を業者と定めて離檀してもらったとしても、いつ、「落としどころ」に納得のいかない相手の檀家さんから「無効です」と言われるかわからない不安定な立場に、お寺を置いてしまう事になりますので、くれぐれもご注意下さい。
 場合によっては、業者は離檀に伴う交渉の結果得られた「落としどころ」を書面にした示談書のようなものへの署名捺印を求めてくるかも知れません。書面上の相手方が代理人の肩書の業者になっていれば、その示談書も無効と思われますが、離檀したい檀家さんの名前になっていた場合は、一概に無効主張ができなくなる可能性があります。「いざとなれば、無効主張すればいい」などと思って安易に署名捺印する事も避けるべきでしょう。

 今回は、非弁行為にお寺が巻き込まれる可能性とリスクについてお話させて頂きました。しかし、「離檀料」問題の本質は、檀家さんに必要な価値を提供できなくなって離檀を招いたお寺の現状であり、また、根拠を明確にしない(できない)ままに「離檀料」の請求をする姿勢の問題であります。全ての檀家さんに、永続的に必要とされるお寺であり続ける事は事実上不可能であるとは思いますが、離檀の話が出て遺留が難しい場合は、正当性のない主張を続けるよりも、何が原因か、どう再発を防ぐか、考え実行する事に傾注する事の方が大切である事は多くの御寺院が同意下さるものと思います。そのためにも、上記のような事例において代行業者を退けた後は、お寺が自ら離檀を希望される方と対話をして、その方の言い分を十分に聞かせて頂くように努めることが大切ですね。

【ご参考】弁護士法第七十二条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止) 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です