宗教法人と収入印紙

 今日は、収入印紙のお話をさせて頂きます。

●お寺が発行する領収書の場合
 5万円以上のものを購入して領収書をもらうと貼ってある「収入印紙」。御寺院でも、護持会費から葬儀の御布施まで、様々な場面で領収書を発行されている事と思いますが、さて、お寺ではどのような場合に、領収書に収入印紙を貼らなければならないのでしょうか?
 結論から申し上げますと、金額の多寡や内容に関わらず、収入印紙は不要です。葬儀のお布施は勿論、お寺の土地の一部を貸し付けると言うような収益事業に伴う領収書であっても、収入印紙を貼る必要はありません。国税庁のHPに掲載されている印紙税法の解説の一部を引用すると、
「金銭又は有価証券の受取書のうち営業に関しないものは、第17号文書の非課税物件欄2において非課税とされていますが、具体的には、商法上の「商人」に当たらないと解されている次の者が作成する受取書をいいます。」
(中略)
「公益法人は、たとえ収益事業を行う場合であっても、収益事業で得た利益を公益以外の目的で使用することが認められていませんので、商人としての性格を持たず、公益法人名義で作成する受取書はすべて非課税となります(第17号文書の22)。」

●契約書を作成した場合
  領収書の場合と異なり、契約書の場合は、契約の内容によって一様ではありません。
 1)土地賃貸借契約書を作成した場合は、契約書記載金額に応じた収入印紙を貼る必要があります(第1号の2文書)。
 2)建物賃貸借契約書を作成した場合は、不課税文書であるため、収入印紙は不要です。
 3)金銭消費賃貸借契約書を作成した場合は、契約書記載金額に応じた収入印紙を貼る必要があります(第1号の3文書)。

●特に注意すべき契約書
 1)所謂、従来のお墓(特定の区画の墓地使用権の設定をする)の場合は、国税庁のHPでも例示されている通り、上記、宗教法人が墓地の永代使用を承諾し、これに対し相手方が使用料を支払うことを約する文書ですから、土地賃貸借契約書に該当するため、収入印紙が必要であると考えられます。
 2)更に注意すべきは、永代供養墓や納骨堂といった、契約者からお骨をお預かりして供養をする場合に作成される契約書です。この場合は、従来のお墓のような墓地使用権の設定ではなく、お骨の埋蔵及び管理を経営者に委託する性質の契約となりますが、対象とする契約書に書かれた内容が請負契約であるのか委任契約であるのか、あるいは、それらが混合した契約であるのか、によって収入印紙の要否が変わってきます。この要否の判定には高度の専門知識が必要で、ご心配の方は、契約書を税務署なり税理士さんに見せて、意見を求めるのが好適です。また、あくまで判定は契約の内容によって為されるものですので、契約名を「埋葬管理委任契約」としたからといって、課税を免れ得るものではありません。

 小生は、住職就任後、良く調べもせずに、5万円を超える領収書に収入印紙を貼っておりました。正しい知識に基づき、正しく納税したいものです。

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