御尊宿、「公告」をされていますか?
私事ではありますが、小生が住職をしております明王寺では、書院・庫裡の建て替えを計画中で、先日来、境内の掲示板に「公告」を貼り出しております。
宗教法人において境内の建物の新築をする場合は、「公告」により、前もってその事実を広く知らしめる事が必要です。久しぶりに檀家さんがお墓参りに来られたら、見慣れた本堂がなくなってマンションになっていた、ご本尊様は屋上にお祀りされている、などと言う事になったら大問題です。
●どのような時に、公告が必要なのでしょうか?
宗教法人法第23条に、以下のような行為をしようとする際に必要である旨、規定されています。
一 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。
二 借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く。)又は保証をすること。
三 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替をすること。
四 境内地の著しい模様替をすること。
五 主要な境内建物の用途若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらを当該宗教法人の第二条に規定する目的以外の目的のために供すること。
また、各宗教法人の規則や、本山などの包括団体がある場合はその規則においても、上記以外の特別の定めがある場合もあります。
●具体的には、どのような公告をすれば良いのでしょうか?
公告の方法については、各宗教法人の規則に、その定めがあるはずです。明王寺に於いては、「事務所の掲示場に10日間掲示して行う」と定められています。
公告に内容については、例えば以下のような書式によります。
●公告を怠るとどうなるのでしょうか?
「宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする」(宗教法人法第24条)。また、怠った代表役員、その代務者、仮代表役員又は清算人は、十万円以下の過料に処されます(同88条第3号)。
宗教法人にとって、支えて下さる利害関係者(ステークホルダー)との良好な関係を維持していく上で、風通しの良い法人の運営が必要である事には論を待ちません。公告は宗教法人法や各法人の規則が求める、最低限の手続きです。些細な事でも積極的に情報開示してゆきたいものです。
尚、公告をする際、きちんとその状況を複数の檀信徒さん(総代さん、責任役員さんを除く)に確認して頂くと共に、写真等に収めておく事が望まれます。その訳はまた別の機会に。